突然、子どもがビデオカメラを出して昔の映像を観始めた。
何年も前の映像に、
「懐かしい~。」
「この頃のわたし、かわいいなぁ。」
「自撮り好きやなぁ。」と言っている。
小学校の運動会の映像、
「お父さん頑張って撮ってくれてたんやな。」
「みんな髪型が似ているから、この後から別の子を撮影してしまうんよなー。」と笑っている。
そんな声を聞きながら、私は胸がうっとなって苦しくなっていた。
それから何年か後に、学校に行けなくなってしまう。
そんな我が子のことを思うと顔が引きつってしまう。
「なんだか、胸が苦しくなるな。」
ビデオカメラを片付けながら、子どもがぽつりと言う。
「そうだね。苦しくなるね。」
とサラッと答える。
まだ、ダメなんだなぁって思う。
泣かないように、気持ちを切り替えて夕飯の支度にとりかかろう。